ケロんちょ大将軍はスピリチュアル・ドリーマー

密林のプラントハンターを嗤うものたち

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HPVワクチンと Mizuho.H 氏 第9回

今回は、HPVワクチンの副反応とされる症状の中から、長期間にわたり持続する疼痛にフォーカスを当てて検討してみます。

※本稿には、HPVワクチンの副反応とされている症状に対しての治療方法に言及している部分があります。これは、インターネット上や書籍から得られた情報を元に拙ブログ管理人が推測したものであり、(厚労省の資料は例外として)信頼性のあるものとはいえません。上記の症状や類似の症状の治療方法を探している方は、医師の意見を尊重するようにして下さい。

HPVワクチンの副反応に関する論点整理

厚生労働省で行われているワクチン分科会副反応検討部会の議事録に度々登場する資料に『子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの副反応に関する論点整理』(以降、論点整理とする)というものがあります。

どのような性質の資料か、実際の議事録に簡潔に記されていますので、以下に引用してみます。

令和元年度11月22日 第44回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会 議事録より

2013年6月に、積極的勧奨のペンディングがあってから大分年月がたちました。

(中略)

「発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、積極的な推奨とならないよう留意すること」という決定でした。

それを受けて、病態に関する論点整理が2014年1月になされたのは、皆様も御承知のとおりです。その後、頻度等について、疫学的解析がなされまして、その内容について、大変詳細な分析がなされたところです。接種をしていない群にも同様の多様な症状が、様々な年齢層に発症しているということが判明しました。

(中略)

2014年の論点整理に変更が生じ得るような、新たなエビデンスがあるかどうか、あるいは安全性に関して新たなエビデンスがあるかどうかについてのファクトの整理がなされました。その結果、2017年の評価では、2014年の論点整理が大きく変わるような新たなエビデンスの出現はないということでした。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09165.html - 厚生労働省

要約すると、2013年6月にHPVワクチンの積極的勧奨が中止されたことを受けて、それまでに報告のあった副反応とされるものの病態を整理したものを『論点整理』として2014年1月にまとめ、さらに、2017年には2014年の論点整理が大きく変わるような新たなエビデンスの出現はないと再評価された、ということです。

論点整理のなかでは、まず、副反応報告全体の頻度は海外の状況と比べても高いわけではないとしながらも、広範な疼痛を来した症例については、我が国よりも報告頻度は低いものの、海外でも報告されている。として、本邦では、広範な疼痛を来した症例が海外よりも発生頻度が高いことを消極的ながらも認めています。

そして、広範な疼痛又は運動障害が生じている理由を説明できる病態に関する仮説として、以下の4つを挙げています。

  1. 薬液により神経システムの異常が起こるという病態(神経学的疾患の可能性)。
  2. 薬液により細胞傷害、すなわち中毒性の病態が生じ、全身性の反応が引き起こされる病態(中毒の可能性)。
  3. 薬液に対して免疫のメカニズムが反応し、その結果として、全身性の反応が引き起こされる病態(免疫反応の可能性)。
  4. 針を刺した痛みや薬液による局所の腫れなどをきっかけとして、心身の反応が惹起され、慢性の症状が続く病態(心身の反応の可能性)。
子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの副反応に関する論点整理(PDF書類)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000055692_2.pdf
以下、特に心身の反応の可能性の仮説についてみてみます。
以上を、私なりにまとめると、
  • HPVワクチンの副反応と主張される症状の主な原因を、心身の反応によって惹起された症状が慢性化したものと仮定した場合
  • 発症のきっかけとして接種後の局所の疼痛の可能性
  • 接種後時間が経ってから発症している症例は接種との因果関係を認めづらい
  • 慢性に経過する症状は接種以外の要因が関与している可能性
  • 治療としては、理学療法や認知行動療法、身体的心理的アプローチ双方が必要
となると思います。
特に、治療方法として、 病態を踏まえた上で、理学療法や認知行動療法等、身体的アプローチと心理的アプローチ双方を用いて、集学的な治療により軽快させていくことが重要ではないか。 とされている点を、心に留め置いていてください。
また、2014年12月10日に行われた『子宮頸がんワクチンについて考える』という日本医師会・日本医学会合同シンポジウムでは、次のような演目がありました。

この演目では、4つの仮説のうち、神経学的疾患・中毒・免疫反応の3つの可能性を否定して、『心身の反応(機能性身体症状)の可能性が考えられる』としています。

ここで一度、時系列を整理してみます。
  • 2013年06月:HPVワクチンの積極的勧奨が中止
  • 2014年01月:HPVワクチンの副反応に関する論点整理
  • 2014年12月:シンポジウム 子宮頸がんワクチンについて考える
  • 2015年12月:名古屋スタディの調査結果(速報)公表
  • 2017年  :2014年の論点整理を再評価

参考までに、橋迫瑞穂氏が以下のツイートを送信したのは、2018年5月12日及び2019年5月17日でした。

ここで、橋迫瑞穂氏は、氏が推進派と称している人々にとって、HPVワクチンの副反応とされていた症状が代替療法で治ったと(※1)メディア(文脈から考えて、ヨミドクター編集長時代の岩永記者の記事と推測できる)が取り上げた目的は、代替療法の技術によるものではなく、副反応とされるものが実は心因性の症状に過ぎないことを強調するためのものでしかなかった。

しかし、衣笠万里(きぬがさ まさと)氏(以降、衣笠万里氏と呼称させていただきます。)はその意図を汲むことが出来ずに、HPVワクチンの副反応を訴えるアカウントに代替療法を勧めてしまった。としています。

本稿では、この橋迫瑞穂氏の認識が、いかに、浅はかで、傲慢で、利己的な思惑に満ちているのかを、みていくことになると思います。

ココロとカラダふたたび - ストレスと筋緊張と疼痛と…

こちらの記事も併せてご覧下さい。
あのHPVワクチン騒動とはいったいなんだったのか?または、ココロはいかにしてカラダに影響を及ぼすか?
https://www.keroncho.org/vasovagal-reflex/

ストレスから不安が生じ、それがきっかけとなって自律神経系や アドレナリンなどのホルモンが分泌され、心拍数や血圧が上昇したり発汗量が増加したりします。

ストレスは筋肉の緊張も引き起こし、首や背中の痛み、頭痛などの原因になります。

心と体の相互作用 - 01. 知っておきたい基礎知識 - MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/01-知っておきたい基礎知識/人間の身体/心と体の相互作用

子どもの頃に、友だちとふざけ半分に平手でたたき合いっこのような遊びをしたことのある方は多いのではないかと思いますが、いざ自分が叩かれそうになった時には、手をかざして防御し、全身の筋肉を緊張させ、あたかも筋肉を鎧のように硬くして、来たるべきダメージから身を守ろうとした覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それと似た筋肉による防御機構が、精神的なストレスに晒された時にも起こり、ストレスが持続すると筋緊張も持続し、やがて筋肉が緊張している状態が普通のこととなり、筋緊張は意識されなくなってしまうことがあるのかもしれません。

では、この仮説について、もっと突っ込んで考察していきましょう。

痛みの悪循環 -愛知県理学療法士会誌から-

痛みの影響はどこまで及ぶか?

痛みは全身の筋緊張や身体バランス、精神面や自律神経系や情動系とも密接に関係してる

(中略)

苦痛は情動的反応であり、心理的因子の影響の程度で大きく変化するので、これらに伴って痛み行動も変わってくる。

対象者が「自分が痛みで苦しんでいることを認めてもらえない」と思っている場合は、認めてもらいたいがためにより強い「痛み行動」を示すし、その逆もあるのである。

したがって、臨床で傷が癒えてもなお「痛い」と訴える患者に対して「痛いのはおかしい」とか(※2)「精神的なものだ」と片付けることは避けなければならない。

我々医療者の安易な一言が「私の痛みを誰も理解してくれない」という不満をさらに増強させ、「痛み」の持続につながる可能性がある。医療者として発してはならない一言であることを覚えておいていただきたい。

(※2)臨床における患者への接遇技法上の問題であって、疼痛と精神面との関係を否定している訳ではないことに注意(注:ブログ管理人)

痛みのメカニズムと理学療法~痛みについて理解を深めよう~ P.2, P.7 愛知県理学療法士会誌(第18巻第2号)(PDF書類)
痛みの機構を理解する上で重要なポリモーダル受容器についても易しく解説されています。(P.3-6)
http://aichi-npopt.jp/dl/ppr_18_02_koeda.pdf

HPVワクチン接種後に不定愁訴を訴えた患者親子が、医療者から上記にあるような問題のある態度を取られ、その結果、患者親子が医療難民化した様子は、(※3)橋迫瑞穂氏が岩永記者への私怨から代替療法家を祭り上げたと難癖を付けているこちらの記事にも記載されています。

  • ^(※3) ワクチン関連は私怨から離れたので、自分なりに学習して考えることにいたしとうございます。 Mizuho.H (@_keroko)
    http://archive.today/8kXir
  • 全部私怨でしかないけど、もともと推進言説もあまりに私的な言葉が多すぎたので自業自得だと思う。 Mizuho.H (@_keroko)
    http://archive.today/sjLMl
【子宮頸がんワクチン特集】打った後の体調不良に苦しんだ立場から 10代後半の女性とその母親 | ヨミドクター(読売新聞)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161108-OYTET50045/
筋痛の原因は何か

筋の持続的な収縮は、筋を硬化させ、筋内毛細血管を圧迫して虚血となり、発痛物質を産生することで痛みを生じさせる。

循環障害による(※4)アシドーシスは、(※5)ATPの再合成を抑制するため、筋の弛緩が十分行えず、さらに筋緊張を増大させる悪循環 に陥る。

痛みのメカニズムと理学療法~運動器の痛み~ P.6 愛知県理学療法士会誌(第18巻第3号)(PDF書類)
http://aichi-npopt.jp/dl/ppr_18_03_koeda.pdf

最初のきっかけは、筋肉内注射による疼痛だったのかもしれませんし、そもそも注射とは一切何の関係もなく、もともと抱えていた精神身体上の問題だったのかもしれません。

或いは、潜在していた心理的な問題や体質的な問題が筋肉内注射による疼痛や迷走神経反射がトリガーとなり、身体症状として顕現したのかもしれません。

個別具体的なことについて、私からは何も言うことは出来ませんが、疼痛が精神的ストレスを誘発、または、精神的ストレスが疼痛を発症・憎悪させ、精神的ストレスと疼痛は筋緊張を生じさせる。そして持続的な筋緊張がさらなる痛みを誘発し、痛みは精神的ストレスをより悪化させる。

ここに(※6)疼痛と精神的ストレスと筋緊張による悪循環が発生しているのではないだろうか?という仮説を立てることは出来そうです。

慢性疼痛症候群

はっきりとした原因が見当たらないか、原因の怪我や病気が治っているのに、3ヵ月程度以上の間痛みが続くものです。

痛みの場所は筋肉や関節の場合もあれば、胸痛や腹痛、口の中や顔などの場合もあります。頭痛も含みますがこれは別項目に挙げました。

一つの病気を表す病名ではなくて、症状からみた病気のグループと考えてください。線維筋痛症、筋筋膜性疼痛症候群、舌痛症、術後疼痛などもここに含みます。

慢性疼痛症候群 | 関西医科大学附属病院
https://www.kmu.ac.jp/hirakata/visit/search/sikkansyousai/d04-004.html
あまり聞き慣れない病名ですが、特定の病気のことを指しているのではなく、様々な疾病を横断的にみて、長引く疼痛という共通する症状に注目してひとまとめにし、便宜上そう呼んでいるものと理解すればよさそうです。
安静時筋緊張亢進

痛みの持続は防御性の筋緊張を亢進し、交感神経活動による体性-自律神経反射により安静時の筋緊張亢進(筋スパズム)を引き起こす。また、痛みの持続は不快な情動反応を助長し、さらなる交感神経活動異常を生じて痛みの悪循環を形成する。

つまり、慢性疼痛症候群は常に交感神経優位な身体環境にあり、生体恒常性を維持できない状況にある。

安静時の筋緊張亢進は、姿勢の変化や筋力低下など持続的筋収縮による運動器系の反応として可視化できる。

(中略)

慢性疼痛症候群では、画像や理学所見などで明らかな問題点が認められないことが多い。つまり、一般的な検査測定では慢性疼痛の問題点を見つけ出すのは難しいといっても過言ではない。本頁では、新たな側面から慢性疼痛症候群の筋緊張に挑む。

慢性疼痛症候群における筋緊張の特性と治療 P.1-3 (PDF書類)
http://www.koko-kara.info/literature/shikkanbetsu-kinkintyo_10.pdf
通常の理学検査で筋緊張をみるときには、四肢の関節を他動的に伸ばしてみたときにかかる抵抗感を観察すると思いますが、痙縮や固縮といった症状とは異なり、慢性疼痛に於ける筋緊張では、筋力の低下という反応を示すようです。

これが、一部の症例で長引く疼痛があるにもかかわらず、筋緊張の異常がみられないと報告されている原因ではないだろうか、と私は推測しています。

また、慢性疼痛症候群の治療として、運動療法が有効であるとしている点(P.6)も心に留め置いていただきたいと思います。

さらに、2019年04月には名古屋大学において、『ストレス下での持続的な筋緊張が慢性的な痛みにつながる仕組みを解明』とのプレスリリースがありました。

これはまだ、動物実験の段階で、直ちにヒトにも適用できるものではありませんが、これまで述べてきた、慢性疼痛と精神的ストレス、そして筋緊張の関係を中枢神経系の病理学から証明するものになるかもしれません。

ME/CFS や FM は(ME:慢性疲労症候群/CFS:筋痛性脳脊髄炎 FM:線維筋痛症 注::ブログ管理人)、身体に炎症や損傷など明らかな原因がないのに、慢性的な異常筋痛や過度の疲労感が生じる原因不明の病気です。

近年の研究で、原因は脳や脊髄内の炎症の可能性が示されています。しかし、なぜ、脳や脊髄に炎症が生じるのか原因は不明であり、現在でも効果のある治療法は開発されていません。

研究グループは、持続的な筋の緊張が生じるストレスモデルを用いて原因を解析しました。その結果、筋肉や皮膚での炎症や神経・筋損傷が生じなくとも、重力に抗して姿勢を維持する抗重力筋の過緊張が、意識しにくい固有感覚を持続的に刺激させ、反射弓に沿ってミクログリアを活性化させ、痛みが生じていることが明らかになりました。

【プレスリリース】ストレス下での持続的な筋緊張が慢性的な痛みにつながる仕組みを解明 ~筋痛性脳脊髄炎/線維筋痛症における痛み発症・維持のメカニズム~ | 日本の研究.com
https://research-er.jp/articles/view/79152
ストレス下での持続的な筋緊張が慢性的な痛みにつながる仕組みを解明 ~筋痛性脳脊髄炎/線維筋痛症における痛み発症・維持のメカニズム~ 名古屋大学(PDF書類)
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/Jou_Neu_20190422.pdf

ミクログリアというのは、脳科学辞典には、いろいろと書いてあって難しいんですが、中枢神経系(脳や脊髄)における免疫機能を担っているはたらく細胞だと思えば、恐らく、当たらずといえども遠からずだと思います。

重力に抗して姿勢を維持する抗重力筋群による過緊張により、小さくて意識されない固有感覚を中枢神経が持続的に感じ、それが脊髄と末梢との間で免疫機能を担っているミクログリアの働きに何らかの異常を生じさせて、神経の損傷や筋肉の炎症を伴わない痛みが発生していると、要約を読んで私は理解しました。

そして、動物実験では筋肉の過緊張を抑制すると痛みがみられなくなったとしています。

先に、慢性疼痛と精神的ストレス、そして筋緊張の関係について触れました。

もし、これらが関係し合い悪循環を形成しているのだとすれば、そのうちのどれか一つを解消してあげれば、悪循環はやがて終わりを告げ、長引く慢性疼痛という症状は快方に向かうのではないか?とは考えられないでしょうか。

これは拙ブログ管理人による、仮説にしかすぎないことに注意してください。

そして、特に筋緊張の緩和は、代替医療の最も得意としている分野です。

密林の奥深くで新薬の原料を探すプラントハンターを嘲笑う者たち

きっかけは、衣笠万里氏の、このツイートを引用リツイートする形でなされた、「HPVワクチンの副反応と思い込む以前に、関西地方にはまともに治療をしてくれる病院がありません」、という訴えからでした。

それに対して、衣笠万里氏は、まず最初に保険医療機関である大阪大学医学部付属病院の疼痛医療センターを提案しています。橋迫瑞穂氏が問題視している展開になるのは、この後ですが、決していきなり代替療法を勧めたわけではありません。

まず、2点指摘しておきます。

宗教社会学という、いやしくも宗教を研究している学者が、衣笠万里先生はHPV/子宮頸がんワクチン推進派かつ岩永直子記者を崇拝なさっているとして、『崇拝』という言葉を使用した事実はとても重いです。

ここで岩永直子記者が登場したのは、このツイートの本当の目的が岩永記者への当てつけであるからだと、私は解釈しました。

何故なら、橋迫瑞穂氏はご自身の専門分野で使用する用語を、専門外の人間が適切に使用しないことに、しばしば不快感を示しているからです。

  • こういう文脈で「宗教」を軽々しく使うのも医者系の特徴なんだよなあ Mizuho.H (@_keroko)
    http://archive.today/0RfeL
  • 非宗教系プロパーはのびのびと「カルト」だの「新興宗教」だの「陰謀論」だの使ってのびのーびと相手をクサすことができるのは少しうらやましくもあり。Mizuho.H (@_keroko)
    http://archive.today/MpTeH

自分の専門分野を、学問を、真理の探究の為ではなく、他者を誹謗中傷する為に使用する。

博士という肩書きに目をくらまされ、「懐疑」など、どこ吹く風で、氏の言動を鵜呑みにする人々は、まるで、カルトの教祖を盲信する信者のようです。

そして、その「信者」の中には(※7)宗教学者も入っているのですから、救われません。

また、呆れることに、被害を訴える当事者のツイートのスクリーンネームやアイコンに、モザイク等のマスク処理を施すことなく、そのまま無神経にスクリーンショットを晒しています。このことはHPVワクチンについて、難しい選択を迫られるお母さんがかわいそうという橋迫瑞穂氏の当事者に対する本当の立ち位置を象徴しているかのように、私には思えました。

診てくれる病院がないという訴えに対して、病院以外を紹介したと非難する理不尽さに気づいているでしょうか?

まともに治療をしてくれる病院がない・勧められた病院の評判がよくないので行きたくない、という訴えを聞いてから、それならば公的医療保険制度の⾕間を補完している代替療法はどうだろうかと提案してみることが、それ程、非常識なことであるとは私には思えません。

標榜している手技がカイロプラクティックであったとしても、提案したのは柔道整復師の公的な免許を持った施術師です。このことは必要最低限の基礎医学の知識は習得していると看做すことができます。患者を紹介する際の一つの目安としたとしても不合理とはいえないでしょう。

代替療法が公的医療保険制度の⾕間を補完している事例や、橋迫瑞穂氏は法令に定められた公的な医療教育を受け免許を所有している医業類似行為と、巷に蔓延る公的な医療教育を受けたことのない『自称整体屋』等の民間療法との区別が付いていないのではないか、という疑問は拙稿「代替医療は贖罪山羊の夢を見るか?」で、ご紹介しました。

代替医療は贖罪山羊の夢を見るか?
https://www.keroncho.org/alternative-medicine/

実際問題として、「論点整理(P.16)」の中で治療法として挙げられている認知行動療法では、「認知行動療法」が実施されているクリニックが、全国で4割に満たないとする調査結果を、信州大などのチームがまとめた。との、2018年2月13日の毎日新聞報道(アーカイブ)に見られるように、まだまだ保険医療機関で普及しているとは言い難い現状があります。

また、「論点整理(P.9)」のなかで、「副反応の訴えによくある起立性低血圧については、起立性調節障害の可能性もある。」と指摘されていますが、肝心の専門外来は数が少ない上に、初診の予約が取れるのは早いところで2週間、人気のあるところでは3か月待ちになっています。(2020年8月時点)

橋迫瑞穂氏が晒したスクリーンショットの中で衣笠万里氏は次のように語っています。

薬剤によらない運動療法等であれば、必ずしも医師でなければならない理由はないと思います。

実際に患者さんを診られている医師も原因探しよりも地道に運動療法や心理療法を続けることの大切さを伝えています。

悪者探しの不毛さは、拙稿「原始の海に最初の有機物が誕生した瞬間にまで遡れ!!」でも論じています。

原始の海に最初の有機物が誕生した瞬間にまで遡れ!!
https://www.keroncho.org/karma/

橋迫瑞穂氏と、その取り巻き共による言いがかりによって、埋もれることになってしまいましたが、衣笠万里氏は、淡々と、そして誠実に、この問題の本質的観点から説得を続けてこられているのですね。

衣笠万里氏は知っていたに違いありません。HPVワクチンの副反応を訴える方々に本当に必要な治療はどういうものであるかを…

騒ぎに便乗しただけの愚か者どもには、決して届くことはありませんでしたが…

「論点整理(P.16)」にある、『病態を踏まえた上で、理学療法や認知行動療法等、身体的アプローチと心理的アプローチ双方を用いて、集学的な治療により軽快させていくこと』その一環としての運動療法を期待しての代替療法家の提案であったのだと、私は思います。

以下に示すのは、橋迫瑞穂氏がスケープゴートとして利用している整体師のツイートのスクリーンショットです。

そこには恐らく、臨床上、患者に触れることで得られたであろう情報、HPVワクチンを接種した場所の筋硬結とは、論点整理(P.13)にある、「急性に現れる心身の反応が惹起されたきっかけとして、接種後の局所の疼痛等が考えられるのではないか。」とも符合します。

また、腰背部を筋弛緩させた後、脊柱の可動性を確保する為 関節操作、歩かせて確認とは、運動療法の一種であるといえるでしょう。名古屋大学の研究にあった抗重力筋群には背部の長背筋も該当します。

疼痛の軽減・筋スパズム減少についてはその生理的効果を得るには、約2℃の温度上昇が必要であるとしており、超音波を10分間照射した場合、周波数1MHzで皮下1~4cm、周波数3MHzで皮下1~3cmに約2℃の温度上昇が見込めると報告している。

(中略)

健常な男子学生20名を超音波照射群10名、非照射群10名に分け、圧痛閾値と筋硬度の変化を検討した。その結果、超音波照射群では、超音波による温熱作用と、非温熱作用によるマクロマッサージ効果によって圧痛閾値の上昇と筋硬度の低下が有意に認められたと報告している。

腰痛に対する超音波・電気刺激複合治療の効果 P.4-5 愛知県理学療法学会誌(24巻1号)(PDF書類) http://aichi-npopt.jp/dl/ppr_24_01_ukai.pdf

参加人数は少ないですが、超音波照射群と非照射群とを比較して、超音波照射群では痛みの感じ方や筋肉の硬さに改善がみられたとあります。

慢性的な疼痛に晒されている患者の中には、皮膚感覚が過敏になっている方もいるかもしれません。マッサージなどによる皮膚への擦過刺激よりは、潤滑剤を用いて超音波機器の端子を皮膚へあてがう方が、刺激を効果的に受け入れやすいのではないかとも考えられます。(その際に特別なゲルを使用する必要はないと、私は思います)

また、徒手療法では技術の習得に時間が掛かりますが、超音波機器には特別な技術を必要としません。医療機器の中では高価な部類に入るとも言えません。このことは、もし、超音波照射が慢性疼痛症候群に有効であった場合、保険医療機関でも比較的導入しやすいと言えるのではないでしょうか。

別に特定の代替療法家を神輿に担ぎ上げたいわけではないのです。仮にそれが民間療法で行われていたことであったとしても、効果に再現性があり保険医療機関で導入が可能なのであれば、患者にとってはそれが一番利益になるはずです。

代替医療の理論の多くは、標準的な医学知識の積み上げが不足していたり、独善的であったり、或いは、現在の標準となっている科学的な考え方とは全く異なる体系で構築されていたりします。

そうした、いわゆるトンデモな理屈を聞いただけで、拒絶反応を示し、全否定するのではなく、もし、それが何らかの効果を示している兆候が観察されたときに、それは何故なのか、仮説を立てて、科学的に検証してみる態度も必要だと思います。

今日使用されている医薬品の 40% 以上は野生生物に由来しており、プラントハンターと呼ばれる多くの人々が、現代でも密林の奥深くで新薬の原料を探している。

途上国の生物多様性保全 高橋進(PDF書類)
https://www.jifpro.or.jp/cgi-bin/ntr/documents/NET9109.pdf

伝統部族に伝わる薬草から新薬に有効な成分を求めようとすることや、密林の奥深くに分け入り新薬の原料を探すプラントハンターを、科学的ではないと嘲笑う者どもこそが、迷信に囚われていると言えるのではないでしょうか?

衣笠万里氏批判のうちにあるもの

要するに、自分の専門を建前にして、岩永記者へ当てつけ嫌がらせをしたい橋迫瑞穂氏と、氏を担ぎ上げて、悪役キャラクターを叩いてストレスの解消を図りたいオバさま達との利害が一致したのが、衣笠万里氏への批判へ発展したものと私は解釈しています。

その批判の中には、「HPVワクチンの副反応と思い込む以前に、関西地方にはまともに治療をしてくれる病院がありません」という当事者の悲痛な叫びへ向けるべき、思いやりのカケラすらありませんでした。

ひどいですね。 今批判している人は高額だとか反ワクチンだとかというのもありますけど、その人間性ですよね。 通りすがり@das_ist_nicht__
言動に問題があるので信用できない、と私は言っています。 ふゆこ@fuyuko355
2ちゃんねる
社怪学者の
えびでんす
 
 
つづく